沈黙の世界

水中たいまつって想像できますか?
映画の冒頭で凄まじい泡ぶくをあげるトーチを片手に海底へと突き進んでいくダイバーたち。
水中なのに本当に火薬を使ったたいまつ。1956年に公開された作品ですが、蛍光素材とか、当時でももう少しスマートな方法は無かったのかと思うほどの乱暴さ、しかしなんともワクワクとさせ、ファンタジックで美しいオープニング。

故ジャック=イブ・クストー氏が探検船カリプソ号と乗組員と共に、世界中の海を旅する海洋ドキュメンタリー。
ダイナミックで驚きと美しさに満ち溢れた映像の連続。

脚色の一切が付け入る隙の無い、人間と海と野生のぶつかり合いだ!
音の無い海中の世界、そこには躍動感と生命力が満ち溢れている。

そして海底に没した難破船の船名を、劇中唯一の女性のナレーションで読み上げるシーンでは、アンニュイで官能的で佇む様な美しさの一面も。ここで唯一共同監督であるルイ・マルの雰囲気を感じました。

広大に広がる海の魅力と、男たちの冒険心がギュッと凝縮された作品です。

沈黙の世界 [DVD]

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